ご挨拶

第13回日本ゲノム微生物学会年会開催に際して

第13回日本ゲノム微生物学会年会を、2019年3月6日(水)〜8日(金)の3日間、首都大学東京 南大沢キャンパスにて開催いたします。

近年多くの生物のゲノムが解読されるようになり、特に高等生物についての研究、また応用的な研究に目が向けられることが多くなっているように思います。しかし微生物についての研究からも、相変わらずとても面白いことがたくさん見つかってきています。例えば細菌のゲノム上の繰り返し配列の同定がきっかけになって微生物の免疫機構であるCRISPRが発見され、それが応用に活かされて高等生物のゲノム編集に発展したり、もともとプラスミドで見つかった細菌自身の生育に害となる毒素−抗毒素のシステムが、微生物におけるプログラム細胞死やpersistenceと呼ばれる現象に働くことが明らかにされたり、非常に興味深い研究が次々と生み出されてきています。小さな微生物についてまだまだ人間は知らないことばかりで、これまでのモデル生物を中心とした研究からその他の生物についての研究へと拡がるにつれて、これからもびっくりするようなたくさんの巧妙な生物の仕組みが明らかにされて行くことと思います。

この微生物の研究の面白さ、魅力を、特に若い世代の方々にぜひ知っていただきたいと思います。本学会の大きな特徴は、医学、薬学、農学、理学、工学など、またミクロ系とマクロ系、実験系と情報系の、各分野の多くの大学、研究機関の微生物研究者が参加し、自由に発表、討論する場であることです。今回は微生物関係の様々な分野で近年素晴らしい研究をされていらっしゃる6人の方々に招待講演をお願いいたしました。また新しい試みとして日本農芸化学会と共催のシンポジウムも開催いたします。ぜひ微生物の研究の面白さを楽しんでいただき、多くの方々にとって実りの多い場となることを願っております。

日本ゲノム微生物学会第13回年会
年会長 加藤 潤一
首都大学東京大学院 理学研究科 生命科学専攻